首・肩の痛み

肩こり・首こりについて


どうして人間は肩こりや首こりに悩むようになってしまったのでしょうか?それは人間が直立二足歩行を始めたときからの宿命かもしれません。

人間の腕につながる肩甲骨は、関節でつながっている他の各部位とは違い、ほとんど筋肉だけでぶら下がっているという状態です。そのため、肩の筋肉は非常に 疲れやすく、立って歩くだけで肩がこってしまいます。さらに、人間の頭の重さは4~5kg(ボーリング玉1個分)もあり、その重い頭を支えている首もこり の対象になり、首の動きに対応して動く背中など肩の周辺の筋肉は、常に重労働をしている状態なのです。

平成22年に厚生労働省が行った国民生活基礎調査によると、女性の自覚のある症状の第1位(2位は腰痛)に肩こりがあげられ、男性の場合でも第2位(1位 は腰痛)にあげられています。そして、欧米人に比べて、平均的に日本人は小さく細い骨格の人が多いため、首と頭のバランスが悪く、首や肩周辺の筋肉に負担 がかかりやすいので、日本人は肩こりを訴える人が多いと言われています。その上、パソコンを使う多くの現代人は、長時間にわたって同じ姿勢でいたりストレ スなどで、とても肩こりや首こりになりやすい生活を送ってしまっています。

 

原因は・・・

肩 こり・首こりになってしまう直接の原因は、筋肉の酸素不足と疲労物質の蓄積と考えられます。肩や首の筋肉が緊張すると、肩や首の血液の流れが悪くなりま す。血液の流れが悪くなると筋肉に酸素が届かなくなり、酸素不足が起こってしまいます。結果として、筋肉の中に疲労や痛みを引き起こす物質が溜まってい き、肩こり・首こりの原因になってしまいます。

肩こり・首こりになりやすいのは・・・

肥満、痩せ過ぎの人で、肩の筋力が衰えていると、肩こり・首こりになりやすくなります。

なで肩、猫背などの体型によって肩の筋肉に負担がかかりやすい体型の人も、肩こり・首こりになりやすいです。

女性は、男性に比べて筋肉が少ないので、疲労が起こりやすくなってしまい、肩や首がこりやすいです。

パ ソコンを使う時など無理な姿勢を続けることも肩こり・首こりになりやすいです。人間が同じ姿勢を保つ筋肉は30分しか持たないと言われており、同じ姿勢を 続けることで筋肉が緊張し続け、血液の循環が悪くなり、肩こり・首こりになってしまいます。肩こり・首こりの8割~9割は無理な姿勢や体型、ゆがみが関係 していると言われています。

その他、目の疲れから生じる肩こりや首こりもあります。メガネやコンタクトレンズの度数が合っていなかったり、パソコンのディスプレイを長時間見続ける と、目が疲れて肩こり・首こりの原因になってしまいます。さらに、目の疲れは肩こり・首こりだけではなく、他の症状も引き起こすことが多いです。

骨や筋肉の異常でも肩こり・首こりになります。加齢により首や肩付近の骨に何らかの異常が起きて神経を圧迫して、痛みやしびれを起こすことがあります。

内臓系の異常によっても肩こりや首こりになります。心筋梗塞、肺がん、高血圧、胃潰瘍などの内臓系の病気を患っていると、肩こり・首こりを起こしやすいですが、頭痛・めまい・耳鳴りなどを併発することがあります。

また、歯の病気で肩こりと首こりを起こすこともあります。顎関節症、歯周病、噛み合わせが悪いことなどが原因になることがあります。

心の病気も肩こり・首こりの原因になります。ストレスやうつ病など、精神的に緊張したり悩んだりすると、筋肉の血管も知らず知らずのうちに収縮していま す。そして、筋肉を使っていなくても血行が悪くなり、筋肉に疲労物質が溜りやすくなってしまいます。

 

肩こり・首こりによる頭痛やめまい

頭には脳があり、脳は体の中でも特に大量の血液を必要とするため、首には左右で4本もの動脈が通って います。肩こり・首こりで肩や首の筋肉が緊張し痛みが出てくると、首の動脈を圧迫するようになり、首から上の血流までも悪くなってしまいます。その結果、 脳へ十分な血液が届かず、また脳から十分に血液が排出されなくなるため、脳が酸素不足を起こし、頭痛やめまいの原因となってしまいます。

肩 こり・首こりと同時に、頭痛やめまいを併発する人の多くは、ストレスに原因があると考えられます。デスクワークなど精神的なものから、車の運転などで同じ 姿勢を長時間していて首や肩に負担がかかるといった物理的なものまで、さまざまなストレスがあります。ストレスによって首や肩の筋肉が緊張して血流が悪く なり、頭痛やめまいが起きてしまいます。十分に休養をとってストレスを解消し、心身の疲れを取り除くことが大切です。